創薬研究の“信頼性”を支えるQA業務
新卒で入社した武田薬品工業では、入社当初よりIND・NDAに向けた薬物動態研究に従事し、2017年に武田薬品工業からAxcelead Drug Discovery Partnersへの転籍を機に現在の部署に異動しました。GLPや信頼性基準だけでなく、会社全体の信頼性保証(Quality assurance; QA)業務に携わっています。多種多様なお客様の創薬研究において信頼性保証の観点でサポートさせていただくことにやりがいを感じています。特に、定型的でない信頼性基準の試験のご依頼をいただいた際に、どうしたら法令で求められた基準を満たした試験を実施することができるのか、社内の研究者とディスカッションしながら理論構築した結果、最適な試験を提供することができた時は、お客様の創薬の一助となれた気がして嬉しいです。
もともと薬学部で企業研究者を目指していたのですが、薬物動態研究を選択したのは、アルバイト先の調剤薬局での経験がきっかけです。薬剤師の免許を取得し大学院に進学後、アルバイトで患者さんに飲み合わせなどの服薬指導をしていました。服薬指導で使っていた薬の作用についてのデータの多くは薬物動態分野だと知り、「創薬研究者になったら、自分が出したデータで、医師や患者さん達にこうして繋がっていくことができるんだ」というところに感動し、入社時に薬物動態を希望しました。
第三者的視点でプロフェッショナルが適切にチェック
私が薬物動態研究に従事していた頃、QA部門による調査を受けていたのですが、正直、どのようなことを行っているかはあまり知りませんでした。実際にQA部門に異動してみると、「こんなところまでチェックしてるんだ!」と驚いたほど、調査体制が整っていました。ソリューションプロバイダーとして研究不正はあってはならないため、お客様から受託した試験を対象に研究不正の監査も定期的に行っています。
最新情報やPMDAの調査のトレンドをキャッチするために業界団体が開催する研修会などに毎年参加し、必要に応じて社内の研究者とも情報共有しています。また、OECD GLPガイダンス文書が新しく発出された際にはグループ内で勉強会を開くなど、情報のアップデートを欠かしません。Axceleadでは、QA部門の社員全員が元研究者として現場を知っているからこそ、机上の空論にならずに実務に落とし込むことができていると感じています。
信頼性保証を重厚にすれば、お客様からするとより安心ではあるかもしれません。一方で、重厚にすればするほど試験の納期に影響が出てしまい、お客様の創薬タイムラインに響いてしまう可能性があります。Axceleadでは、over qualityにならないよう、社内だけでなくQAの業界団体活動を通じて、医薬品業界あるいは規制当局も巻き込んで議論しています。
古都に魅せられて
学生時代を京都で過ごした際に着物に憧れを持ち、お給料を貯めて、社会人2年目で訪問着を誂えました。着付けも習いに行き、友人の結婚式、自身や家族の慶事など様々な場面で活躍しています。以前は、休日にカジュアルな着物を着て食事に行ったりしていました。世の中の状態が落ち着いたらまた、楽しみたいと思っています。
サポートすることで創薬に貢献する
QA部門には武田薬品でGLPを20年以上経験している先輩方もいるので、指導を受けながら日々研鑽を積んでいます。最近、QAの業界団体が行っている信頼性保証業務の専門家としての登録試験に合格しました。これからも創薬研究者として培った経験を活かし、お客様の手元に届く報告書の未来のゴールを意識しながら業務に励むことで創薬に貢献していきます。