Axcelead社員インタビュー
#006

「そういうもんなんだ」それって本当?!

浅野 恭臣 医薬探索研究 主席研究員

有機合成はまるでプラモデル

メディシナルケミストリーとパラレル合成を担当しています。薬の研究に興味を持ったきっかけは、父親が小さな島で漁師をしており赤貝の養殖の研究をしていて、小学生のころ養殖場にいやいやついて行ってたんですが(笑)薬を混ぜたりするのは楽しかったんです。それと、大学生の頃東京大学の薬学部から教授が赴任してきてその研究室に配属され薬学と出会い「有機合成はまるで部品を組み立てて作り上げるプラモデルみたいだな」と興味を持ちました。有機化学者を目指した理由も、分子を自分で自由自在にデザイン・合成できることが楽しかったからです。

ここ2年は古巣の武田薬品以外にも様々な企業やアカデミアの方とプロジェクトでの関わりが増え、とにかく学ばされることが多いです。多様な文化に触れることで選択肢も増え視野もより広がりこの歳になって仕事を通じてまだ学べる、成長できるという事はこれほど幸せなことはありません。

僕らが思っている常識は常識ではないかもしれない

「知りたい!」という想いが強く「それはそういうもんなんだ」と言われると、それって本当?!と疑問を抱きます。なぜなら、僕らが思っている常識は常識ではないかもしれないからです。最前線で創薬研究をしているからこそ、既存の理論がいつ覆されるか分からないから自分でやってみて答えを出してそれを原理原則に落とし込めた時よろこび感じます。

生きる土台となっている野球から得た学び

プロ野球選手になるのが夢だったくらい野球が好きで、今もキャッチボールを会社のお昼休みにしています。そして、お声をかけていただき昨年8月から大船で少年野球のコーチとして5年ぶりに指導者復帰しました。野球に育ててもらった感覚があって、コーチを引き受けたのも野球に恩返したいと思ったからです。小さな島で育ちその中では野球が上手かったから、中学生までは「俺が!」という気持ちが強かったんです。ですが高校から島を出てみると、かなわないほど上手い人ばかりで愕然としました。そこから心を入れ替えて監督と選手の潤滑油となるマネージャーをすることで「チームで勝つにはどうしたらいいのか?」を意識して取り組んできました。

武田薬品に入社してからの創薬研究で仕事を任せられ始めると合成だけでなく、薬理、動態、毒性などいろんな専門性の方々とプロジェクトを正に「one team」で進める中で解決策を一緒に探ったり、相乗効果が働き同じ方向を向くことを経験しました。僕の行動の根底はやはり野球にあって、チームで仕事を進める、その中で自分が貢献できることを精いっぱいやれるということで、この仕事が病み付きになりました。

「薬を創る」につながるを信じて。

なぜこの化合物はこの作用を出すのか?この毒性を出すのか?じゃあこの課題をどうやってクリアできるのか?を追求していきたいです。それは「薬を創る」につながるはずです。
ニューヨークのTDIで研究した際、アカデミア発の種を「薬」に昇華させることを、製薬会社の経験からサポートする重要性、必要性を体感しました。日本のアカデミアやバイオベンチャーがもつ種を、日本の研究者と「薬」に仕上げたい。Axceleadはそれを具現化できる組織だと信じています。
※TDI:Tri-I Therapeutics Discovery Institute

浅野 恭臣 医薬探索研究 主席研究員

京都大学大学院薬学研究科博士後期課程修了後、North Dakota State Universityに博士研究員として2年間留学。 2001年に武田薬品工業株式会社に入社し、 一貫してメディシナルケミストリー研究に従事。 FBDDを含めたHit to Leadから候補化合物を磨き上げるLead Optimizationまで幅広いステージに携わってきた。また、対象疾患も循環器系に始まり、代謝疾患、免疫・炎症疾患、中枢疾患、癌とほとんどの領域を経験。2015年から2017年まで1年半、米国ニューヨークのTri-I Therapeutics Discovery Institute (TDI)に出向し、アカデミアの種を薬まで磨き上げることの重要性を体験。 2017年にAxcelead Drug Discovery Partners株式会社へ転籍し、現在、医薬探索研究化学でメディシナルケミストリーとパラレル合成を担当。