4. 本当は良い薬になるかもしれない原石が見落とされている?!
     NaV1.5・CaV1.2アッセイの可能性

hERGアッセイについては理解が深まりました!ところで心機能毒性評価は、
         hERGさえクリアできればOKなのでしょうか?

最近の動向としては、薬剤誘発性不整脈をより的確に予測するためには、カリウムイオンとともに心筋細胞の活動電位を構築するナトリウムイオンやカルシウムイオンの動きを制御するNaV1.5やCaV1.2チャネル電流アッセイも含めた総合的な評価が必要という認識が広まっています。そして現在は、hERGアッセイと非げっ歯テレメトリー試験のみが臨床試験に入るためのGLP必須試験に定められていますが、この2つの試験結果が合わない場合には、その説明のためにNaV・CaVアッセイを実施することがガイドライン*に盛り込まれようとしています。


*: 医薬品規制当局と製薬業界団体から構成されるICH(医薬品規制調和国際会議)が作成している、医薬品規制に関するガイドライン

NaV・CaV アッセイも重要なんですね。

そうですね。hERGチャネル阻害は全くないので安心して研究を進めていたら、

* クリックすると拡大されます。

予期せぬNaVの阻害があって不整脈が出てしまうこともあります。したがって、研究開発後期になって初めてNaV・CaVチャネルへの影響を見るのではなく、hERG アッセイと同じ段階で、まず代表的な化合物群についてNaV・CaVチャネルへの影響も見た方が良いのではと考えています。逆に、hERGチャネル阻害が強く、この化合物ダメだ…と諦めていたら、実はCaVチャネル阻害も持っていて、hERGチャネル阻害によるQT延長が相殺され、致死性不整脈誘発リスクはないというパターンもあるんですよ。

そんなパターンもあるんですか!!

むしろ今はその後者のパターンで開発が間違ってSTOPされるケースが懸念されていますね。本当はすごく良い薬になるかもしれない化合物をhERGチャネルアッセイの結果だけで落とさないように、NaV・CaVもちゃんと評価した方が良いというのが最近の流れです。

5.  心機能毒性評価のベストパートナーを目指して

Axceleadでは、NaV・CaVアッセイも実施しているんですか?

現在はアッセイ構築の最終段階にあり、今年(2020年)の5~7月にはサービスインするという宣言をしています。私が勝手に宣言してるだけなんで、現場のメンバーに怒られちゃいそうです(笑)。

今のところ順調ですか?

ギリギリですかね(笑)。hERGより難しいんですよ。特にCaVは難しくて、なかなか安定しないのですが、みんなで力を合わせて頑張っています!NaV・CaVアッセイ以外にも、hERG アッセイからテレメトリー試験の間を繋ぐ、hiPS細胞由来心筋細胞を使ったMEA (Micro-Electrode Array)アッセイは既にサービスを開始しています。

MEAアッセイ??

これは心電図のQT間隔が伸びるか伸びないかを予測するためのアッセイです。通常、in vitroでhERG K+チャネルの阻害が見られたら、次の段階としてイヌやサルの心電図実験でQT間隔の延長があるかを調べます。
ただ、動物実験はやはりコストが高い。そこで、vitroとvivoの間を繋ぐもう一つのin vitro試験として、hiPS心筋細胞を使ったMEAアッセイがあり、ヒト心室筋の興奮を担う活動電位(正式には細胞外電位)を測定できます。この試験を行えば、g単位の化合物を使って百数十万円もの動物心電図実験をやらなくても、試験管の中でQT延長リスクが評価できるんです。

それは画期的ですね!

vitroとvivoを繋ぐ第2の試験系として、ウサギ・モルモットの心臓標本を使って試験管の中で心電図を測定するin vitro試験もありますが、毎日1~2匹しかできません。その代替法としても、hiPS心筋細胞を使ったMEAアッセイは有用で、ぜひお客様にもご活用いただきたいです。

今後の目標を教えてください。

vitroからvivoまで全て揃っている施設は意外と無いので、統合的な心機能毒性評価をAxceleadにお任せ頂けるように、研究基盤を更に拡充していく予定です。心循環器系の評価に強いAxceleadを目指しています。また、Axceleadは私も含めて製薬企業出身者ならではのノウハウや新薬開発知見を持っているので、単にデータを出すだけでなく、そのデータにはどういう意味があるか、どう創薬に活かしていくかをご提案できると思います。例えば、『hERG アッセイの結果について安全域をどう考えたら良いですか?この毒性の強さでも開発を前に進めても大丈夫ですか?』といったご相談や、『阻害じゃなくて増強が出ちゃったけどどうしたらいいですか?』といったご相談もいただいています。私達自身もhERGアッセイの結果だけでは判断できないので、次に必要な追加試験などのご提案を積極的にさせていただいています。試験結果を踏まえて“次の一手”をご相談いただけるパートナーになりたいですね。Axceleadには、Medicinal Chemistryや薬効薬理、in vivo毒性評価の部門にも経験豊富なScientistがいるので、彼らとも連携して最適なソリューションをご提供します。hERG阻害作用をなかなか回避できない方や払拭方法をお探しの方はぜひ一度ご相談ください!

高砂さん、お忙しいところありがとうございました!

本日のまとめ


   開発Go/No go decisionに影響する毒性プロファイルは、研究初期の段階でリスクを回避することが重要
   メンバーの高い技術力に加え、最新機器・SyncroPatch 384PEの導入や凍結hERG強制発現細胞の活用などにより、厳しいクライテリアを満たした高品質なデータをスピーディーにご提供
   コンサルティングやhERG以外のアッセイも組み合わせて、心機能毒性評価をトータルでサポートできるパートナーへ


■ 関連論文のご紹介

高砂主席研究員の論文が、『Journal of Pharmacological and Toxicological Methods』に掲載されました。
詳しくはこちらをご参照ください。
LinkIcon hERG assayに関する投稿論文