最新設備と戦略的アプローチで挑むイオンチャネル創薬!~課題を打破する創薬力~

イオンチャネル標的薬創出を目指すお客様に対し、理想的なHit化合物をご提供するため、Axceleadではオートパッチクランプ法(SyncroPatch 384PE)を取り入れたハイスループットスクリーニング (HTS) の測定系を構築するなど、新たなスクリーニングサービスを強化しています。そこで今回は、イオンチャネル創薬のスペシャリスト3名にお話を伺いしました!

2020年10月2日

INTERVIEW_03
関 梓、日比野 良祐、平野 満

関 梓:(医薬探索研究、Cell biologyグループ)大学院在籍中、自然科学研究機構 生理学研究所との共同研究によりマニュアルバッチクランプ法を習得。2010年信州大学大学院工学系研究科修了後、ラクオリア創薬株式会社に入社しイオンチャネルを標的とした創薬研究に従事。2018年5月より現職。
日比野 良祐:(医薬探索研究、HTSグループ)2009年武田薬品工業入社後、OncologyおよびNeuroscience部門にて in vivo、in vitro Pharmacology、Translational Rsearchに従事。2017年より現職。(経営学修士)
平野 満:(医薬探索研修、Cell biologyグループ)2017年京都大学大学院工学研究科 研究指導認定退学。博士(工学)。国立循環器病研究センター研究所 画像診断医学部、ヴュルツブルグ大学核医学部門を経て、2018年8月より現職。

INDEX >>

  1. 広がる、イオンチャネル創薬の可能性
  2. 求める化合物像に合わせた最適なスクリーニング戦略をご提案
  3. “熟練技×最新技術”で高品質・高効率なスクリーニングを実現
  4. 点と点を線に変えて“創薬”の実現を目指す

1広がる、イオンチャネル創薬の可能性

本日は宜しくお願いいたします!
まず初めに、イオンチャネル標的薬にはどのようなものがあるか教えてください。

日比野:創薬ターゲットのタンパク質全体の 約20%がイオンチャネルであるとされており、代表的な疾患領域には、循環器系や中枢神経系、痛みなどがあります。また近年では、免疫系や癌領域でもイオンチャネルを標的とした薬が開発されており、イオンチャネルは様々な疾患に関わる魅力的な創薬ターゲットです。

なるほど。
イオンチャネル標的薬特有の研究開発の難しさはあるのでしょうか?

関:イオンチャネルは、心臓や脳といった生命活動の根幹を担う臓器に広く発現しているため、心毒性や神経毒性といったクリティカルな副作用が出やすい傾向にあります。これらの副作用をいかに回避できるかが、イオンチャネル標的薬開発の鍵となります。

創薬ターゲットとして今後の可能性はどうでしょうか?

平野:バイオロジーの進歩によって、疾患の原因となっている分子の同定・バリデーションが進んでいます。また、イオンチャネルの局在や分子複合体の解析も進み、機能解析ツールと測定系も日々進化しています。従来と同じターゲットであっても、新たな創薬が出来る可能性があると考えています。

2求める化合物像に合わせた最適なスクリーニング戦略をご提案

スクリーニング戦略について教えてください。

日比野:通常、スクリーニングは、 数十万の化合物を数千に絞り込むHTS(Primary screening)、次に数千の化合物を数百に絞り込む2nd Screening、さらにヒット化合物を絞り込むprofilingのステップに分かれています。 スクリーニングの戦略次第で、得られるHit化合物やそのMOA(Mode of Action:薬物の作用様式)はもちろんのこと、スピードやコストも大きく変わってきます。

イオンチャネルを標的とした測定法にはどのようなものがあるのでしょうか?

平野:イオンチャネルの機能を直接的に評価する電気生理学的手法がゴールドスタンダードです。単一の細胞から手作業でデータを取得するマニュアルパッチクランプ法と、これを自動化し、同時に複数細胞からのデータ取得を可能にしたオートパッチクランプ法があります。それ以外には、蛍光色素を用いてイオン濃度や膜電位変化を測定する手法や、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)/BRET(生物発光共鳴)なども用いられています。

たくさんの手法があるんですね。
これらの手法はどのように使い分けられるのでしょうか?

関:以前は処理能力の観点から、 数十万にも及ぶ化合物を電気生理学的手法で評価することが困難でしたので、細胞内イオン濃度や膜電位、化合物の結合などを指標にPrimary screeningを実施し、それ以降の評価で、電気生理学的手法や細胞機能評価を実施するといった流れが主流でした。しかし近年では、技術の進歩により、高い処理能力を持つオートパッチクランプ法が登場し、Primary screeningでも電気生理学的手法を用いることができるようになりました。

Axceleadでは、これまで様々な評価方法によりHTSを実施してきた実績があります。お客様のニーズに合った評価方法を選択し、最適なスクリーニング戦略をご提案しています。

最適な手法を選択するには、イオンチャネル創薬の経験が重要になりそうですが、皆さんはずっとチャネル創薬のご研究をされてきたんですか?

平野:私は、イオンチャネルの分子複合体に着目した研究や生体内での受容体・トランスポーターの機能的発現に関する研究を行ってきました。電気生理学や遺伝子工学、生化学、イメージング技術などイオンチャネル機能を多面的に評価してきた経験を生かして、お客様の創薬をサポートしたいと思います。

関:私は約10 年に渡り、スクリーニングからCandidate 化合物の創出まで、様々な対象疾患のイオンチャネル創薬に携わってきました。前職では主にマニュアルパッチクランプ法を担当し、国内外問わず大手製薬企業との共同研究も多く経験してきました。これまでの経験を活かして、面白い評価法や化合物をお持ちのアカデミアやベンチャー企業の方々に対し、“創薬研究を進める中でどんな点に気をつけるべきか”といった観点も踏まえた最適なスクリーニング戦略、プロトコールをご提案させていただきます。

日比野:私は、製薬会社の薬理部門に10年間在籍し、開発化合物の対象疾患を決定する評価法の構築から始まり、次に臨床を見据えたTranslational研究、そして創薬の最初のステップであるスクリーニングと、前臨床研究のはじまりから臨床開発への架け橋となる研究まで様々な過程に携わってきました。これらの経験を活かして、先を見据えたスクリーニング戦略をご提案したいと考えています。

同じ分野でも、様々なバックグラウンドをお持ちなんですね。
みなさんの総力が終結したサポート体制はとても心強い!