2022年3月31日

医薬探索研究 柴田主任研究員、曽我部主任研究員の論文が2021年『Scientific Reports』誌の
Cell and molecular biology分野Top100に選出!

柴田主任研究員、曽我部主任研究員の論文「Identification of the first highly selective inhibitor of human lactate dehydrogenase B」が、1940を超す論文の中から2021年『Scientific Reports』誌のCell and molecular biology分野Top100に選出されました。

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この喜ぶべき快挙について、共同研究者の慶應義塾大学先端生命科学研究所 曽我朋義教授より以下のコメントをいただきました。

「がん細胞は解糖系という代謝経路を亢進していることが知られています。その代謝を止めるためにはLDHBの阻害薬が必要であることがわかり、Axcelead社と共同でその開発に取り組みました。短期間で世界初のLDHBの阻害薬が創出できたことはAxcelead社の技術力の高さを示すものであり、この論文はがん研究者のみならず代謝や生化学などの幅広い分野の研究者から注目されていると思われます。」

また、柴田主任研究員、曽我部主任研究員は以下のようにコメントしています。

柴田主任研究員「今回の受賞は“世界のスクリーニングセンターを目指しヒット化合物を創出していく“、という我々のグループのビジョンを達成するために、絶え間ない努力をしていく私たちの決意の成果と考えています。論文で発表した化合物は、世界初のLDHB選択的阻害薬であり、これまでの阻害剤とは異なる阻害機序を示します。新しい化合物を創出するという研究は常にリスクを伴いますが、非常に大きな成果を発表することができました。関係者の皆様には大変感謝しております。」

曽我部主任研究員「私達の論文を非常に多くの方にダウンロードいただき、“Top 100 in Cell and Molecular Biology”を受賞したことを大変嬉しく思います。今回見いだされた化合物が、既知の阻害化合物とは異なる新規の作用機序を示すことを生化学と構造生物のアプローチから明らかにした点が、高い評価につながったのだと思います。本論文により、私達が幅広い科学的研究分野に対応できることを示すことができました。今後、さらに研究レベルを高めて、皆様の創薬研究の加速化に貢献していきたいです。」

論文の概要:

LDHB阻害薬のハイスループットスクリーニングを実施して、世界初のLDHB選択的阻害剤であるAXKO-0046を見出しました。また、AXKO-0046がLDHBに対して不拮抗的な阻害作用を示す非常にユニークな特性を持つ化合物であることを明らかにしました。さらに、AXKO-0046とLDHBタンパク質の複合体の結晶化およびX線構造解析に成功し、AXKO-0046が未知のアロステリック部位に結合していることを見出しました。

「Axceleadの」RapidFireハイスループット質量分析システム

本研究では、基質および生成物の測定に、RapidFireハイスループット質量分析システムを用いました。RapidFireは固相抽出技術を応用した方法で、質量分析によって検出する次世代のラベルフリーアッセイシステムです。弊社では、複数のRapidFireシステムを保有しスクリーニング業務を実施しております。

関連サービス:

RapidFire HT-MS, タンパク質X線結晶構造解析

(左)曽我部 智 医薬探索研究 Discovery Biology 主任研究員

東京工業大学大学院総合理工学研究科博士後期課程修了後、日本ロシュ、中外製薬、武田薬品工業を経て、Axcelead Drug Discovery Partners に転籍。その間、欧米の研究所での創薬研究も経験。一貫してタンパク質立体構造解析研究を担当し、最近は分子間相互作用解析にも従事。

お客様へのメッセージ:HTSで見出されたヒット化合物のフォローアップをワンストップでサポートして、お客様の創薬研究に貢献したいと考えています。

(右)柴田早智雄 医薬探索研究 Discovery Biology 主任研究員

1989年武田薬品工業に入社。新規疾患関連遺伝子の探索や癌領域の創薬研究に従事。2017年、Axcelead Drug Discovery Partners株式会社に転籍後は化合物探索のスクリーニング業務に従事。

お客様へのメッセージ:新たな技術プラットフォームを構築し新薬開発に貢献します。また、新規化合物をスクリーニングすることで、お客様の良きパートナーでありたいと考えています。