2023年1月25日

統合トランスレーショナル研究 浅野研究員の共著論文が「Stem Cell Research & Therapy」に掲載されました!

CDK8/19 inhibition plays an important role in pancreatic β-cell induction from human iPSCs

Kensuke Sakuma, Noriko Tsubooka-Yamazoe, Kiyohiro Hashimoto, Nozomu Sakai, Shinya Asano, Saori Watanabe-Matsumoto, Takeshi Watanabe, Bunnai Saito, Hirokazu Matsumoto, Hikaru Ueno, Ryo Ito & Taro Toyoda

Publish: January 5,2023
https://stemcellres.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13287-022-03220-4

論文の概要:

糖尿病の根治的な治療法として、ES細胞やiPS細胞などのヒト多能性幹細胞から作製した膵島様細胞の移植が期待されており、オリヅルセラピューティクス株式会社ではヒトiPS細胞由来膵島細胞(iPIC)の製品開発を進めています。製造工程で用いる培地成分や分化誘導因子等への暴露による最終製品への影響を最小化し、より安全性の高い細胞を作製することおよびその品質管理を行うことは、細胞移植製品開発において非常に大きな課題です。

佐久間健介主任研究員(オリヅルセラピューティクス株式会社)、および豊田太郎講師(京都大学iPS細胞研究所(CiRA)未来生命科学開拓部門、元タケダ-CiRA共同研究プログラム(T-CiRA)PI)らの研究グループは、iPIC作製過程で使用する分化誘導因子の安全性リスク評価を行いました。その結果、ES細胞やiPS 細胞から膵島様細胞集団を分化誘導する過程で世界的に広く用いられている誘導因子の1つ、ALK5 inhibitor IIに安全性リスクの異なる兆候を見出しました。そこで代替化合物への製法変更を試みたところ、これまで知られていなかったオフターゲットのサイクリン依存性キナーゼCDK8/19の阻害が膵島様細胞集団の誘導に重要な役割を果たしていることが明らかとなりました。この知見に基づいて、CDK8/19阻害剤を取り入れた独自の誘導法を確立し、より安全性の高い膵島様細胞集団を得ることに成功しました。

本研究においてAxceleadはシングルセル遺伝子発現解析・エームス試験・キナーゼプロファイリングを担当・実施しました。

関連サービス:
シングルセル遺伝子発現解析

関連サイト:
オリヅルセラピューティクス株式会社

浅野 真也 統合トランスレーショナル研究 研究員

修士(農学)。東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程卒業後、ベンチャー企業を経て、2017年にAxcelead Drug Discovery Partners 株式会社に入社。RNA-seqを中心にオミクスデータ解析を担当。