2023年11月30日

統合トランスレーショナル研究 安藤研究員、東京大学との共同研究の成果が国際科学誌「Nature Communications」に掲載されました

Intestinal Atp8b1 dysfunction causes hepatic choline deficiency and steatohepatitis

Published online: November 21, 2023
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【論文の概要】
東京大学、林久允准教授らの研究チームと共同で、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1(PFIC1)の発症メカニズムとして、必須栄養素コリンの吸収の不良を発見しました。
PFIC1は、原因遺伝子が見つかっているものの、病気の発症メカニズムが不明であり、根本的な治療法がない希少疾患です。このメカニズム解明のために、Axcelead DDPは、林久允准教授らの研究チームが作製した疾患モデル動物およびPFIC1患者のサンプルの脂質分子を含むメタボローム解析を実施しました。その結果、PFIC1は、患者体内で必須栄養素コリンの前駆体、リゾフォスファチジルコリンの吸収不良、次いで、コリン自体の欠乏が生じ、病気の発症へと至る可能性を見出しました。さらに、東京大学研究チームは、疾患モデル動物へ経口でコリンを補充する事により、肝臓の症状が消える事を確認しました。本成果より、コリン補充が同疾患の治療に繋がる可能性が見出されました。

メタボローム解析:メタボロームは代謝物(metabolite)とギリシャ語の「全て」を意味するomeを合成した言葉で「代謝物の総体」を意味します。メタボローム解析は、生体サンプル内の代謝物を網羅的に解析する手法です。

研究内容の詳細については、東京大学のニュースリリースをご参照ください。
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/

安藤 智広 統合トランスレーショナル研究 Omics 所属 ダイレクター
東京大学大学院 薬学系研究科 博士課程終了後、武田薬品工業を経て、Axcelead Drug Discovery Partners株式会社へ、設立時より参加。メタボロミクス、プロテオミクス業務を担当する。